日本カツオ学会設立趣意書

 カツオは古来、花鳥風月を愛する日本人の食と文化に大きな影響を与えてきました。
ところが、カツオ一本釣りの盛んな高知県・黒潮町の漁業者から、「カツオが、これまでのように獲れなくなってきている・・・」という直感的な不安の声が発信されました。そのことをきっかけに、平成21年10月に、産・学・官の枠組みと地域を超えて、カツオにゆかりのある全国の人たちが集い「第1回カツオフォーラム」が高知県黒潮町で開催されました。

 その結果、カツオに関する様々な課題や可能性が明らかになり、「黒潮一番地宣言」が発表されました。
その宣言で確認されたように、私達にとって、これまで身近な食材であったカツオ資源の実態はどうなっているのか、そして、カツオに関わる漁撈、加工、流通、消費、文化がどのような現状にあるのか、また、カツオの高付加価値化や有効な利用方法にはどのような可能性があるのかなど、今後、さらに継続した調査・研究と課題への挑戦が必要です。

 また、カツオ資源の実態を把握するためには、海洋資源調査機関のデータのみならず、日々海の上でカツオを追っている漁業者の目による観察情報も、特に貴重な指標として認識する必要があります。そして、有効活用によってカツオ資源の可能性を高めるためには、産業界や地域の諸団体の積極的な参画を得ることが大切であり、カツオに関わる産業の振興や地域の振興に資することを期待します。

 そこで、将来にわたり、日本人とカツオとの「上手な付き合い方」を探るために、カツオ産業の盛んな地域と産・学・官の関係者、及び、カツオに興味がある人々が集い、各種の情報交換をはじめ、調査・研究を継続して行う機会として、私たちはこの会を設立したいと思います。つまり、カツオに関心を持つあらゆる人々が相互に交流・連携して、協働の図れる場として、この会を位置付けて、カツオに関する「様々な取り組み」に着手したいと考えております。

 「初夏に初ガツオ、秋には戻りガツオ」、日本の豊かな自然と食文化を守り、今こそ、カツオの価値を問い直し、みんなでつむぎ合いましょう。

平成23年1月8日